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きなこの雑記帳

青春ラジオペンチ 感想

先日、生まれて初めて商業BL本を買ったとありますが、買った本の感想を書いてみます。BLなので、一応ワンクッション置いておきます。

 

 

青春ラジオペンチ 1 (フルールコミックス)

青春ラジオペンチ 1 (フルールコミックス)

 

確かきっかけはpixivコミックで見かけたことだったんですが、ちょうど2巻が発売するころに全編掲載されていたみたいで、ありがたいことに頭からおしりまでwebで読ませていただいたんです。基本的に、webで読んだものってあんまり買わないのですが、この作品については掲載が終わってしばらく経ったころに「あ、そっか、もう好きなタイミングで読めないんだな…」と思ったのがきっかけで電子書籍で購入をし、その後やはり単行本も欲しくなったため購入しました。

今まで商業BLを買ったことがなかったのですが、この本がきっかけとなり電子書籍でちょこちょこBLを買うようになってしまいました… が、印刷媒体と電子媒体で同じものを持っている本というのは、様々なジャンル含めてもこの本のみです。(そして改めて、本当に好きな漫画というのは可能な限り印刷媒体で持っておくのがいいと気づいたのもこれがきっかけです)

 

あらすじをざっくり説明すると、中学時代の経験から無気力に高専に進学した3年生の男の子が、ひょんなことからロボット研究部に入部することになってみんなでロボットを作ってコンテストを目指し、出場する…みたいな感じです。本当にざっくりですが、その間に過去のトラウマや傷、実は出会っていたふたり、大会に向ける熱く爽やかな青春要素、そしてもちろんボーイズがラブするときめきシーンが盛り込まれています。ああ、なんか説明が下手すぎて面白さが全然伝わってこない…

 

このBLの何がいいって、設定が私のフェチいところをドストライクについてくれたんですよ。それが、高専生。商業BLは若葉マークの私ですが、やおい界隈にはもう15年以上生息しているので、定番の設定については理解しているつもりです。高専生。あんまり聞かないですよね。でもね、すごくいいんですよ…

私は何を隠そう作業着フェチで、この作業着フェチというのにはっきり気付いたのは成人を過ぎて以降。しかし作業着萌えを満たしてくれる作品というのはあまり見つけられませんでした(余談ですが、ガンダムUCのバナージくんが好きな理由のひとつに「アナハイム高専の制服のブルゾンが作業着っぽい」っていうのがあるかもしれない。あ、あれも高専か…)高専生はもれなく作業着。ありがてえ…!そしてさらにツボなのが学ラン。学ラン、好きなんです。青春時代を女子校で6年間くすぶっておたくしていたからか、学ランは今でもものすごく好きで好きで…黒詰襟金ボタンの学ラン男子と川沿いの土手で制服デートすることにすごい憧れがありました。今では叶わぬ夢ですが。あと私が野球少年が好きっていうのも萌えたポイントのひとつかも…(主人公の兎山くんは中学時代は野球少年という設定)

 

攻めの子(猫田くん)と受けの子(兎山くん)が可愛いんです。かっこいいとこもあるけど、ふたりとも本当に可愛い。さらに脇を固める部員(鷲沢くんと柴井くん)もすごく可愛くて、キャラクターがしっかりたっていてとても魅力的。「ふたりの世界」になりがちなイメージの強かったBLですが周囲のキャラクターにも愛情が持てます。みんなで作るロボもね、すごい可愛いんですよ…!可愛い可愛いしか言ってないですが、本当に愛す可き要素をもったキャラクターばかり出てきます。カップリングでいうと、わんこ攻×ヤンキー受っぽいのですが、猫田くんは結構肉食で強引なところもあるし兎山くんはヤンキーっぽいけど不良感は薄いし…カテゴライズしにくい面白い二人です。

トーリーのロボコンに出よう!という青春部分については明快で分かりやすい少年漫画っぽいですが、BL部分については、行間を読ませる要素が多い少女漫画っぽいイメージをうけました。かなりシナリオ部分が丁寧に書かれているため、おそらく通常のBL作品よりBL部分はゆっくりかつ少なめなのではないでしょうか。ただし、BL漫画であること、あと恐らく話数(ページ数)がある程度決まっているであろうため色々と制限があり描けなかった部分があったとは思うのですが、兎山くんが猫田くんを好きになることへの説得力が少し弱かったようにも思いました。ただこれは、私が少女漫画慣れしていないのと行間を読む力が足りないという点もあるかと思います。

あと少し気になったのが、猫田くんの一人称が「僕」なのですが「俺」になっているシーンがあって、これは意図的なのか誤植なのかが読み取れず…まあ普段の生活では僕と俺の使い分けしてる人も多いし、そうおかしなことでもないのかな。

 

前述の「漫画は紙の方がいい」についてですが、以前、電子書籍で漫画を買った知人が「電子だと筆致などによるタッチで描き分けている表現を見落としがち」と言っていたことがまさにこの作品でおこりました。実際に単行本で読んで「ああーーー!!!これは小さなiPod touchの画面では気づけなかったー!」というシーンがあったのです。これには本当に驚きました。特に理由がない限り、やはり好きな漫画はなるべく印刷媒体で読まねばなあ〜と思ったのはこれがきっかけです。加えて、表紙の色の美しさは印刷媒体で見ると格別ですよね。それからカバーの手触りなども。この作品は、表紙の青いい色が本当に綺麗な上カバーの手触りがとっても気持ちいいんです…。個人的に最近は同人誌も商業BLもすごく装丁などに凝ってるなあ…と思います。おしゃれな本が多い気がする。時代かな。そういうのもやっぱり、印刷物でこそより魅力が伝わるのじゃないかと思います。

 

実は、あまりの勢いで電子書籍購入→単行本購入をし、購入後は何度も繰り返し読んだため情熱が高まって直接感想をお手紙に書いて送ってしまった作品でもあります。中学時代に、すごく好きな文具をデザインされた方に手紙を送って以来、およそ10数年ぶりのファンレター。直接伝えたい感想はそこで書いてしまったのですが、その際に伝えきれなかったことや、伝えにくかったこと、個人的なことなどを少しここに記してみました。この作品は著者の橘ミズキさんのデビュー作ということですが、ジャンル問わずまた新たな作品も是非読んでみたいなと思いました。(巻末とtwitterに書かれていた、初期プロット案のストーリーも面白そうでした)

 

最後に余談ながら。私はYシャツの上から作業着を羽織る、ブルーカラーなんだかホワイトカラーなんだかわからない作業着がめちゃめちゃ好きです。本編とは全く関係がない話ですが、ここに記しておきます。